ニューズレター
音楽ストリーミング・プラットフォームでの音楽再生の合法性
知的財産及び商業裁判所(以下「IPCC」という)は2024年8月15日、音楽ストリーミング・プラットフォームは著作権集中管理団体(Collective Management Organisations、以下「CMO」という)及び関連版権会社と音楽著作物利用許諾契約(ライセンス契約)を締結しているため、歌詞・楽曲の著作権者が後にCMOを脱退したとしても、プラットフォーム運営者は著作権者とCMOとの間の利用許諾関係を知る由もなく楽曲の再生を継続しても、係争歌詞・楽曲の著作権を侵害する故意はないとの判決を下した(知的財産及び商業裁判所112年(西暦2023年)度民著上字第24号民事判決)。
本件の被告音楽ストリーミング・プラットフォームは、CMOを通じて音楽著作物の公衆送信権に関する包括的利用許諾を取得し、2010年1月1日から2020年12月31日までの許諾期間中、CMOが管理する全ての音楽著作物を利用する権利を有していた。プラットフォーム運営者はまた、関連版権会社と利用許諾契約を締結し、音楽著作物を複製し、インターネットプラットフォームで音楽の試聴、ダウンロードをユーザーに提供する権利を取得している。プラットフォームで再生される全ての音楽は、ライセンサーが提供するファイルからプラットフォームに送信される。
原告は、同プラットフォームで再生されている楽曲の一部の著作権者であり、2018年2月4に個人のFacebookページで、CMOとの契約関係を解消し、2019年1月1日にCMOから正式に脱退することを表明していたが、同プラットフォームは原告の許諾を得ておらず、原告が創作した楽曲の再生を継続しており、原告の著作権を故意に侵害するものであったと主張した。
IPCCは、行為者の故意は主観的、心理的事実であり、第三者が直接体験したり認識したりすることはできないため、外部から直接証拠を得ることは通常困難であるとした。これにより、IPCCは、あらゆる証拠を総合的に評価し、社会常識や人間性を考慮し、経験則や論理法則に基づき、行為者の外形的表出及び行為時の客観的状況を総合的に判断する。行為者が関連する事実を調査するためにあらゆる努力を尽くし、その調査結果に基づいて相応の対価を支払ったのであれば、主観上には「明らかに知っていたこと」の欠如により、他人の著作権を侵害する故意がないと認めるのに十分である。プラットフォームで再生される楽曲数は7,000万曲以上あり、その全てがシステムで管理されており、著作権者やCMOからの通知がなければ、プラットフォーム運営者は著作権者とCMOとの間の利用許諾関係が存続するか否かを知る由もない。プラットフォーム運営者に対し、それが利用する7,000万曲以上の楽曲の権利の変更状態を随時確認・把握する義務を課すことは、事業運営の経験則に反するだけでなく、プラットフォーム運営者に不釣り合いかつ過重な負担を強いることになる。プラットフォーム運営者はCMOや版権会社から楽曲の削除を求める通知を受け取っておらず、原告がCMOに許諾していないことを知った後は、原告の音楽著作物の再生を継続していないことから、プラットフォーム運営者に侵害の故意はなかったと判断できる。