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2024年専利無効審判請求事件口頭審理作業方案の改訂


Jason Chuang

2018年より、智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局」という)は、専利(特許、実用新案、意匠を含む)無効審判請求事件に口頭審理(ヒアリング)手続を導入し、「専利無効審判請求事件口頭審理作業方案」を公表した。しかし、同局が公表した情報によると、20241月から5月まで、無効審判請求事件の口頭審理は32件しか実施されておらず、利用率の低さがうかがえる。審理プロセスの質を向上させるため、同局は2019年と2021年に上記作業方案を改訂したが、2024510日に、再び改訂案を公表し、上記作業方案を「専利無効審判請求事件口頭審理作業要点」(以下「新要点」という)と改称し、2024611日より、当該作業方案が適用された。主な改訂点は以下のとおりである。

 
(一)    「予備口頭審理(口頭審理の準備)」機能の強化
 
「予備口頭審理」とは、正式な口頭審理を行う前の準備手続のことであり、改訂前の作業方案では、口頭審理の進行順序に関する協議、書類や証拠の適格性の明確化など、予備口頭審理手続において取り扱うことができる事項の詳細がすでに規定されている。今回の改訂では、さらに、争点の整理と簡略化、係争無効審判事件における訂正の明確化、口頭審理における攻防の要点に関する協議などの手続が追加され、両当事者はその協議に拘束されるとの規定が新設された。
 
(二)    進行役による適時適切な心証開示の明確化
 
改訂前の作業方案では、係争無効審判請求事件の担当審判官のうち1名を審理の進行役として任命し、その口頭審理の手続を指揮する権限を明確に規定している。本改訂はさらに、審理の透明性をより一層向上させ、当事者や参加者が審判官の判断の理由や根拠をより明確に理解できるようにするとともに、審理プロセスの信頼性を高めるため、口頭審理の進行役は、事実、法律又は証拠に関する争点について、適時適切に心証を開示できると規定している。
 
(三)    テレビ会議による審理が可能に
 
智慧局が公表した情報によると、2021年に予定されていた2件の口頭審理が、コロナの影響により延期された。テレビ会議による口頭審理が可能になったことで、参加者はオフィスや自宅から参加できるようになり、交通機関の遅延・渋滞や感染症流行、その他の不測の事態による遅延を避けることができる。さらに、テレビ会議による口頭審理は、外国からの参加者も参加しやすく、外国企業の台湾での特許保護意欲の向上が期待される。
 
(四)    当事者が口頭審理期日に欠席した場合の取扱いの明確化
 
専利無効審判の口頭審理手続は、当事者の申立てにより実施されるものであり、当事者の一方が申立てをし、智慧局が必要と認めたときは実施される。しかし、改訂前の作業方案では、他方当事者が口頭審理期日に出頭しなかった場合の取扱いについては明確に規定されていない。今回の改正は、口頭審理手続の当事者の一方が指定された期日に口頭審理に出頭しなかった場合でも、審判官は他方当事者の申立てにより「一方当事者による口頭審理手続」を行うことができると規定している。ただし、以下のいずれかに該当する場合、口頭審理の期日は再設定しなければならない。
 
1.     欠席する当事者が、合理的な期間内に適法な通知を受けなかったとき。
2.     天災その他の正当な理由により出頭できないとき。
3.     本局の職権により調査すべき事項について、出頭する当事者が必要な証明ができないとき。
4.     出頭する当事者から提出された理由、事実又は証拠が、相当な期間内に他方当事者に通知されなかったとき。
 
(五)    口頭審理の記録について、その内容の簡略化のため、要旨を記載し、録音又は録画によって補足できる。
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