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医薬品の特許権存続期間の延長登録を認める権利範囲の判断について



台湾専利法(特許法、実用新案法、意匠法に相当)は20211221日に改正され、新たに第56条が新設され、「専利主務官庁によって存続期間の延長登録が認められた特許権の範囲は、許可証に記載された有効成分及び用途で限定する範囲にのみ及ぶ」と規定された。この規定によれば、特許権存続期間の延長登録は、当該特許の特許請求の範囲をすべて認めるものではなく、存続期間が延長された特許権の権利範囲は、特許請求の範囲の中で許可証に記載された有効成分及びその用途に対応する物、用途又は製造方法にのみ及び、特許請求の範囲に記載されているが、許可証に記載されていないものには及ばない。知的財産及び商業裁判所(以下「IPCC」という)は、20231229日付の111年(西暦2022年)度民専訴字第60号判決において、本条の解釈及び適用について論じている。

 
IPCCはまず、専利法第56条に基づき、本件の存続期間が延長登録された特許権の技術的特徴を分析した。その技術的特徴には、(1)有効成分(要件番号A)、(2)許可証に記載された用途(要件番号B。裁判所は、これが医薬品許可証の「適応症(効能・効果)」欄に記載されている内容を指すと述べた。)が含まれる。その上で、裁判所は、被疑侵害原薬の有効成分は要件番号Aのものと同じであり、係争原薬について取得された許可証に記載された適応症は要件番号Bのものと同じであったが、裁判所は、係争原薬は製剤製造に使用される原料であり、治療用途はなく、原薬の承認を申請する時に、その原薬の適応症の有効性と安全性を裏付ける関連する臨床試験報告書を添付する必要はないとした。したがって、係争原薬の許可証に記載された適応症は、係争原薬の「薬理学的分類」に過ぎず、その臨床応用の適応症ではないため、要件番号Bの範囲に含まれないと判断した。裁判所は最後に以下のように述べた。
 
延長登録された特許権の範囲は、医薬品許可証に記載された有効成分及び用途にのみ及ぶため、治療用途のない原薬(川上製品)に及ばないのは当然である。また、原薬の承認申請の審査は、原薬の物理的・化学的性質と合成方法・手順のみに着目したものであり、治療上の安全性と有効性を考慮したものではないため、当然、延長登録された特許権の範囲に含まれるとは認められず、薬理学的分類をもってその適応症として対比すべきではなない。
 
しかし、専利法第56条の文言によれば、同法第56条は「用途」によって延長登録された特許権の範囲を限定している、すなわち、特許請求の範囲に記載されているが許可証には記載されていない「用途」を、延長登録特許権の保護範囲から除外しているだけであり、延長登録特許権は製剤に限定されていない。本件を例にとると、原薬を直接治療薬とすることはできなくても、その「用途」は、係争延長特許権と同じであると思われる。原薬による延長登録特許権の侵害の可能性を一概に排除するというIPCCの立場を解釈することが適切か否かについてはまだ検討の余地があると思われ、本件が今後、控訴審で維持されるか否かも注目される。
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