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智慧局は同一の争点について、無効審判請求人の主張と異なる理由で無効審決を下した場合、専利権者に一定の期間内に答弁の機会を与えるべきか



専利(台湾の専利は、日本の特許、実用新案、意匠を含む。)無効審判手続きにおいて、無効審判請求人がその提出した無効審判請求の証拠及び対応する事実について特定の主張に限定した(例えば、請求人は、特定の引用文献が当該無効審判請求に係る専利の技術的特徴を十分に開示「しておらず」、その進歩性欠如を証明するには他の引用文献と組み合わせる必要があると説明した)が、台湾智慧財産局(台湾の知的財産権主務官庁。日本の特許庁に相当。以下「智慧局という)は、同じ証拠を斟酌したところ、請求人の主張とは異なる判断をした場合(例えば、当該特定の引用文献が無効審判請求に係る専利の技術的特徴を十分に開示「している」とした)、智慧局は専利権者に一定の期間内に答弁するよう通知する義務があるのか。これについて、知的財産及び商業裁判所(以下「IPCC」という)は、20221124日付の111年(西暦2022年)度行専訴字第21号判決において、明確に肯定する立場をとっている。すなわち、同裁判所は、専利権者の無効審判に関する答弁の方向性や、請求項に対する訂正請求などの権利行使に影響を与えないよう、智慧局は専利権者に一定の期間内に答弁の機会を与えるべきで、この点については裁量の余地はないと述べた。

 
裁判所の理由は以下のとおり。専利法第75条には「専利主務官庁は、無効審判請求を審理するときは、無効審判請求の趣旨範囲において、職権で、無効審判請求人が提出していない理由及び証拠を斟酌することができ、期間を定めて答弁するよう専利権者に通知しなければならない。期間が過ぎても答弁しないときは、直ちに審理することができる。」と明確に規定されている。その立法趣旨及び2021年版専利無効審判審査基準4.4.1の規定によると、請求人が無効審判請求理由をある主張に限定したが、智慧局がこの理由を斟酌した後、請求人の主張と全く異なる判断を下した場合、この状況も「職権による斟酌」を経たものとみなすべきである。なぜなら、このような場合、専利権者は、無効審判請求人によるある主張に対してのみ答弁でき、請求人の主張と極端に異なる可能性のある智慧局の判断に対して答弁を準備することは期待できないからである。もし、智慧局が専利権者に答弁の機会を与えずに、直ちに不利な判断を下した場合、専利権者にとって不意打ちとなる。
 
この事件では、請求人は、証拠23の組み合わせが、係争専利の請求項1の進歩性欠如を証明するに足ると主張した。証拠2だけでは請求項1の技術的特徴を「開示するのに不十分である」と考えた請求人は、証拠2が「どのように開示した」のかについては、当然ながら何ら理由も述べていなかった。IPCCは、智慧局が職権で証拠2を斟酌した後、証拠2が請求項1の技術的特徴を「開示済み」と認定し、証拠23の組み合わせが係争専利の請求項1の進歩性欠如を証明できるという結論に達した場合、関係する証拠の組み合わせは同一で、かつ、請求人が提出した争点から逸脱していないが、無効審判の審決で斟酌された当該部分の理由は、無効審判請求人が表明した主張と異なるため、当該部分に関する智慧局の判断は職権による審理に属し、法により原告に一定の期間内に答弁の機会を与えるべきである、という見解を示した。
 
したがって、無効審判の審決書を受け取った際に、専利権者は、審決書に記載された無効理由が請求人の無効理由と一致するか否か、また、無効理由と一致しない部分について答弁の機会が与えられたか否かを詳細に確認しなければならない。これにより、自己の権利・利益に影響を及ぼすか否かを把握する必要がある。
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