ニューズレター
「専利法」の改正及び施行
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現行の台湾「専利法」(※日本の特許法、実用新案法、意匠法をカバー)は2011年11月29日に改正、2011年12月21日に総統により公布され、2013年1月1日に施行された。その後、特許法制をさらに前進させるため、立法院は2013年5月31日に「第三読会」で専利法の一部改正を可決し、2013年6月11日に総統により改正条文が公布された。改正後の専利法第159条第2項には、2013年5月31日に改正された条文は公布日から施行すると明確に規定されており、「中央法規標準法」第13条の規定に基づき、改正専利法は2013年6月13日に発効した。今回の法改正の重点は、以下のとおりである。 |
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1. |
同一人が同日に特許出願及び実用新案登録出願をする「二重出願」に係る規定を改正し、現行の「権利は最初から存在しなかった」とする規定から、「権利接続可能」とする権利接続制度に改める。また、出願人は出願時に「二重出願」であることを申し出なければならない、とする規定を追加する。 |
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いわゆる「二重出願」とは、出願人が一の発明について同時に実用新案登録と特許を出願することを指す。実用新案は実体審査が行われないため、通常、4ヶ月ほどで登録許可を受けることができるが、一方、特許審査には3年半程度の期間を要する。改正前の規定によれば、二重出願の場合、特許出願が審査を経て特許査定を受け、出願人が発明特許を選択し実用新案登録を放棄した場合、既に取得していた実用新案権は「最初から存在しなかった」ものとみなされていた。今回の改正では、出願人の権益を保護するため、上述の「最初から存在しなかった」とする規定を廃止し、権利の空白が生じないようにした。ただし、出願人が出願時に「二重出願」であることを申し出なければ、上記規定の適用を受けることはできない。改正条文は、以下のとおりである。 |
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第32条 |
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同一人が同一の創作について同日にそれぞれ特許出願及び実用新案登録出願をするときは、出願時にそれぞれ申出をしなければならない。その特許査定前に、既に実用新案権を取得しているときは、特許主務官庁は、期間を指定していずれかの出願を選択するよう出願人に通知しなければならない。出願人がそれぞれについて申出をしなかったとき、又は期間が経過してもいずれかの出願を選択しなかったときは、特許を受けることができない。出願人が前項の規定により特許を選択したときは、その実用新案権は、特許権が公告された日をもって消滅する。 |
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特許査定前に、実用新案権が既に当然消滅しているとき、又は取消が確定しているときは、特許を付与しない。 |
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2. |
第32条の改正により、発明特許公告前の他人による実施行為については、たとえば補償金と実用新案権の損害賠償を同時に主張できるといったように、権利の二重主張が可能となっていた。そこで、第41条の関連規定を改正し(第3項に但書を追加)、補償金と実用新案権の損害賠償のいずれか一方を選択するよう規定された。改正条文は、以下のとおりである。 |
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第41条 |
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特許出願人は、その出願の公開後、特許出願の内容について文書をもって通知したにもかかわらず、通知から公告までの期間において、業として当該発明の実施を続けた者に対し、当該特許出願の公告後、適当な補償金を支払うよう請求することかできる。 |
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既に公開された特許出願であることを明らかに知りながら、公告前に業として当該発明の実施を続けた者に対しても、前項の請求をすることができる。 |
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前2項の規定の請求権は、その他の権利の行使を妨げない。ただし、本法第32条により、発明特許及び実用新案をそれぞれ出願し、かつ、実用新案権を取得した場合は、補償金の請求又は実用新案権の行使のいずれか一方を選んで主張することができる。 |
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第1項、第2項による補償金の請求権は、公告日から2年以内に行使しなければ、消滅する。 |
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3. |
特許侵害の損害賠償の計算及び懲罰性賠償に係る規定を改正し、改正前の専利法における、意図的な権利侵害に対する「最高3倍の懲罰性賠償金」規定を特許法制に復活させた(2011年の専利法改正時に、当該「最高3倍の懲罰性賠償金」規定が削除された)。改正条文は、以下のとおりである。 |
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第97条 |
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前条による損害賠償の請求は、次の各号のいずれかの方法により、その損害額を算定することができる。 |
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| 1. |
民法第216条の規定による。ただし、その損害を証明するための証拠方法を提出することができないときは、特許権者は、その特許権の実施により通常得られる利益から、損害を受けた後に同一の特許権の実施により得られる利益を差し引いた金額をその損害額とすることができる。 |
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| 2. |
侵害者が侵害行為により得た利益による。 |
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| 3. |
当該特許の実施許諾により収受する合理的な実施料を損害額の算定の基礎とする。 |
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前項の規定により、侵害行為が故意に属する場合、裁判所は被害者の請求により、侵害の状況に基づいて、損害額以上の賠償額を定めることができる。ただし、証明された損害額の3倍を超えてはならない。 |
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4. |
実用新案出願には、方式審査が採用されており、特許要件を満たすか否かについて実体審査を行わずに実用新案権が付与される。権利者による警告書の濫用を防止するため、実用新案権者が警告を行うときには、実用新案技術評価書を客観的な判断資料として提示する必要があるが、それは訴訟提起の前提要件ではない。改正条文は、以下のとおりである。 |
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第116条 |
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実用新案権者は、実用新案権行使時に、実用新案技術報告を提示しなければ、警告をすることができない。 |
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新法執行の詳細に関しましては、今後も引き続き、当所にて進捗状況を注視し、重要な進展がありましたら、随時ご報告いたします。 |
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