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中国(大陸):《登録商標の連続三年間不使用による取消申請》に関するガイドラインの改訂



中国(大陸):《登録商標の連続三年間不使用による取消申請》に関するガイドラインの改訂
 
中華人民共和国商標法第49条第2項によれば、登録商標がその指定商品についての一般名称となった場合、または正当な理由なく連続して三年間使用されていない場合、いかなる団体または個人も商標局に対して当該登録商標の取消を申請することができる(この制度は一般的に「撤三」と呼ばれている。本稿では、以下、「三年不使用取消申請」という。)。誰でも申請できるとされているものの、現在、三年不使用取消申請案件が多く、第三者名義による悪意のある匿名申請も見受けられるため、実務上、20252月から三年不使用取消申請の審査が厳格化された。
 
その後、代理人や申請者は、三年不使用取消申請に関する補正通知を次々と受け取るようになった。補正通知の主な内容は、三年不使用取消申請に関する声明書の提出、三年不使用取消申請の真の意図の開示、対象商標の商標権者に関する経営情報や商標の状況等の追加提出、さらに取消対象商標が未使用であることを証明するより詳細な証拠の追加提出などである。業界ではこれに対して強い反応があった。
 
そして、2025526日、中華人民共和国国家知識産権局商標局は、20233月に制定された《登録商標の連続三年間不使用による取消申請》に関するガイドライン(以下、「本ガイドライン」という。)の内容を改訂した。
 
本稿では、まず三年不使用取消申請手続の概要を紹介し、次に2025年における本ガイドラインの改訂内容について説明する。
 
 
1. 三年不使用取消申請手続の概要
 
三年不使用取消申請手続の概要は以下の通りである。
 
商標局
(1)    取消申請の提出
 
本ガイドライン三(一)によると、提出すべき書類は以下の通り。
  1. 《登録商標連続三年間不使用取消申請書》
  2.  対象商標が正当な理由なく連続して三年間使用されていないことの予備的調査証拠(例えば、ウェブ検索結果、市場調査報告書等)。
  3.  申請者が押印または署名により確認した身分証明書(営業許可証副本、身分証明書等)のコピー。
  4. 商標代理人に委託して手続を行う場合は、商標代理委任状を提出する。
 
ü   項目2(予備的調査証拠)については、今回の改訂で、より詳細な指針が提供されている。下記23)(改訂内容2:予備的調査証拠)参照。
 
(2)    商標局による商標権者への使用証拠提出通知
 
商標局は申請を受理した後、商標権者に対し通知を行い、通知を受け取った日から2か月以内に、取消申請前の当該商標の使用証拠または不使用の正当な理由を提出するよう求める(商標法施行条例第66条第1項)。
 
(3)    商標権者による使用証拠の提出
 
使用証拠には、商標権者が登録商標を使用した証拠および商標権者が他人に登録商標の使用を許諾した証拠が含まれる(商標法施行条例第66条第2項)。
ü   証拠交換の手続はなく、申請者は商標権者が提出した使用証拠を閲覧することができない。そのため、一般的な実務としては、商標局が登録維持の決定をした後、申請者が「復審」を申請し、復審段階で証拠交換を行い、反証意見を提出する。
 
(4)    商標局による決定
 
国家知的財産局は、商標権者が提出した登録商標の使用証拠を受領した後、証拠を審査し、当該登録商標を取消すか否かの決定を行い、書面で商標権者および取消申請者に通知する(《登録商標の連続三年間不使用による取消申請》五9)。
ü   商標局は、申請を受理した日から9か月以内に決定する。特別な事情により延長が必要な場合は、国務院工商行政管理部門の承認を経て、3か月延長することができる(商標法第49条第2項)。
ü   一般的には、相手方が使用証拠を提出しなかった場合、約6か月で決定が出される。相手方が使用証拠を提出した場合は、9か月以内に決定が出される。
国家知識産権局(復審)
商標局が登録商標の取消または取消さない旨の決定をした場合、当事者がその決定に不服があるときは、通知を受け取った日から15日以内に商標評審委員会に「復審」を申請することができる(商標法第54条)。
ü   商標評審委員会は、申請を受理した日から9か月以内に決定をし、書面で当事者に通知しなければならない。特別な事情がある場合は、国務院工商行政管理部門の承認を経て、3か月延長することができる(商標法第54条)。
ü   申請者は、商標局の段階または評審段階で相手方が提出した使用証拠を入手し、証拠の検証を行うことができる。
北京知的財産裁判所(訴訟)
当事者が国家知識産権局の決定に不服がある場合、通知を受け取った日から30日以内に北京知的財産権裁判所に提訴することができる(商標法第54条)。
 
 
2. 《登録商標の連続三年間未使用による取消申請》ガイドライン改訂
 
(1)目的
国家知識産権局ウェブサイトに掲載された記事によれば、本ガイドラインの改訂目的は以下のとおりである(2025530日「商標局が《登録商標の連続三年間未使用による取消申請》を改訂」(知識産権報)https://www.cnipa.gov.cn/art/2025/5/30/art_55_199891.html)。
「国家知識産権局商標局は、《登録商標の連続三年間未使用による取消申請》の改訂版を公表した。提出すべき書類や具体的な要件等の実務内容をさらに明確化し、また、対象商標の三年間未使用に関する初期調査証拠の範囲等を細分化することで、申請効率の向上を図り、申請者が、これらの要求に従って、正当な理由なく連続三年間未使用である登録商標の取消申請を行うよう指導するものである。
現行の我が国の商標法第49条及び商標法施行条例第66条の規定によれば、登録商標が正当な理由なく連続三年間未使用の場合、いかなる団体または個人も国家知識産権局に対し当該登録商標の取消を申請することができ、申請時には関連状況を説明しなければならない。
今回の改訂で、申請者は取消理由において、対象商標が正当な理由なく連続三年間未使用である状況を説明すべきであり、かつ対象商標の三年間未使用に関する予備的調査証拠(例えばインターネット検索結果、市場調査報告等)を添付すべきことがさらに明確化された。」
 
 
(2)改訂内容1:申請者
3(二)14を以下の通り追加:
14.申請者が提出する主体資格証明書類は、『商標審査審理ガイド』上巻第1部第15.1の要件を満たさなければならない。商標代理委任状等の書類は、『商標審査審理ガイド』上巻編第1部第15.2の要件を満たさなければならない。
 (5.1の内容については、別紙参照)
 この部分の改訂は申請者名義に関するものである。第三者名義で申請できるか否か(或いは申請すべきか否か)、また実務上どのような書類が必要か等は、実務運用に依存し、かつ今後も変更の可能性があるため、取消申請の際は現地商標代理人と最新の実務状況について協議することが望ましい。
 
(3)改訂内容2:初期調査証拠
3(二)14を以下の通り追加:
15.初期調査証拠には、以下が含まれるが、これらに限定されない。
対象商標の商標権者の事業範囲または業務範囲、経営状況または存続状況等の情報、対象商標の市場調査状況等。関連調査には、専門的な検索プラットフォームに限定されない。対象商標の商標権者の公式ウェブサイト、WeChat公式アカウント、ECプラットフォーム、オフラインの(実体の)生産・営業拠点等のネット検索、市場調査、現地調査等の証拠。
 
 この部分の改訂は、今年の改訂前に実務上求められていた内容と実質的に類似している。具体的な調査範囲については、取消申請の際に現地商標代理人と最新の実務状況について協議することが望ましい。
 
3. まとめ
 
 登録商標の件数が非常に多いため、商標出願後、先行類似商標を理由に拒絶されることが多い。さらに、現時点では併存同意書の取得により、先行商標との抵触を解決する手段はない。そのため、三年間不使用取消申請制度が先行類似商標との抵触を克服する主要な方法となっている。取消申請制度の実務運用は随時更新される可能性があるため、取消申請の際は現地商標代理人と最新の実務状況について協議することが望ましい。
 本稿は、北京律盟知識産権代理有限責任公司(Lee and Li - Leaven)の鍾紅波弁護士および馮雅琴弁護士の協力の下で作成された。
 


 
別紙
 
《商標審査審理ガイドライン》上巻第一部第一章5.1
 
その他の申請書類の審査
5.1 身分証明書類、主体資格証明書類
5.1.1 基本要件
5.1.1.1 身分証明書類
身分証明書類とは、申請者の身分を証明する書類である。申請者が商標申請手続を行う際には、身分証明書類のコピーを添付しなければならない。自然人の身分証明書類には、身分証明書、パスポートが含まれるが、これらに限定されない。法人またはその他の組織の身分証明書類とは、法に基づき設立されたことを証明する書類であり、営業許可証、事業法人証書、社会団体法人登記証書、民間非企業登記証書、基金会法人登記証書、法律事務所業務許可証などが含まれるが、これらに限定されない。
我が国の香港特別行政区、マカオ特別行政区および台湾地区の申請者を除き、国内の法人またはその他の組織が登録、異議、変更、譲渡、更新などの商標手続を行う場合、統一社会信用コードが記載された身分証明書類を使用しなければならない。
同一申請者が複数の商標登録申請、譲渡、更新、抹消、許諾登録、更正および登録証の再発行などの申請手続を同時に行う場合、身分証明書類は1セットのみ提出すれば足る。この場合、添付していない方の申請書の表紙に、関連書類が添付されている具体的な申請案件の位置を明記しなければならない。
 
5.1.1.2 主体資格証明書類
主体資格証明書類とは、申請者が申請資格を有することを証明する書類である。申請者は、手続の具体的な要件に従い、対応する主体資格証明書類を添付しなければならない。
1)申請者が商標登録を申請する場合、商標法第4条の規定を満たさなければならない。申請者が提出した身分証明書類で規定を満たすことが証明されている場合、別途主体資格証明書類を提出する必要はない。申請者が内地(大陸)の自然人である場合、統一社会信用コードが記載された個人事業主営業許可証、農村土地請負経営契約書のコピー(申請区分は自営の農業副産物に限る)など、申請者が生産経営活動を行っていることを示す主体資格証明書類を提出しなければならない。
2)商標法第13条第2項および第3項、第15条、第16条第1項、第30条、第31条、第32条の規定違反を理由とする異議申立てを行う場合、異議申立人は先行権利者または利害関係者としての主体資格証明書類を提出しなければならない。
3)商標法第45条第1項の規定に基づき登録商標の無効宣告申請を行う場合、申請者は先行権利者または利害関係者としての主体資格証明書類を提出しなければならない。
4)その他の場合、申請者が提出した身分証明書類で申請資格が証明でき、身分証明書類は主体資格証明書類と同じである。
 
5.1.1.3  その他
申請者が提出する関連書類は、いずれも記載された有効期間内でなければならない。
外国の申請者は、身分証明書類および主体資格証明書類の中国語訳文を同時に提出しなければならない。添付しない場合、当該証明書類を提出していないものとみなす。
商標オンラインサービスシステムを通じて申請を提出する場合、申請者はコピーに押印または署名し、押印または署名済みのコピーをカラーでスキャンしてアップロードしなければならない。申請者の印章または署名は、鮮明かつ完全でなければならない。
 
5.1.2 国内申請者
5.1.2.1 内地(大陸)申請者
5.1.2.1.1 法人またはその他の組織
申請者が内地(大陸)の法人またはその他の組織である場合、統一社会信用コードが記載された身分証明書類(営業許可証、法人登記証書、事業単位法人証書、民間非企業単位登記証書、基金会法人登記証書、社会団体法人登記証書、法律事務所業務許可証など)の有効なコピーを提出しなければならない。
定期刊行物証、学校設立許可証、衛生許可証などは申請者の身分証明書類として認められない。
代表所(代表、事務所(は自らの名義で商標登録を申請することはできない。
 
5.1.2.1.2 自然人
申請者が内地(大陸)の自然人である場合、身分証明書、戸籍証明書などの有効な身分証明書のコピーを提出しなければならない。内地(大陸)の自然人が商標登録、譲渡などの申請手続を行う場合、商標法第4条の規定に従い、個人事業主営業許可証、農村土地請負経営契約書など、申請者が生産経営活動を行っていることを証明する主体資格証明書類を提出しなければならない。
 
5.1.2.2 香港特別行政区、マカオ特別行政区および台湾地区の申請者
5.1.2.2.1 法人またはその他の組織
申請者が我が国の香港特別行政区、マカオ特別行政区および台湾地区の法人またはその他の組織である場合、所属地区の登記証明書のコピーを身分証明書類として提出しなければならない。身分証明書類が英語である場合、対応する中国語訳文を提出しなければならない。
 
5.1.2.2.2 自然人
申請者が我が国の香港特別行政区、マカオ特別行政区および台湾地区の自然人である場合、身分証明書類のコピーを提出しなければならない。
 
5.1.3 外国申請者
5.1.3.1 法人またはその他の組織
申請者が外国の法人またはその他の組織である場合、所属地区または国の登記証明書のコピーを提出し、同時に対応する中国語訳文を提出しなければならない。外国企業の中国における事務所、常駐代表機関の登記証は身分証明書類として認められない。
 
5.1.3.2 自然人
申請者が外国の自然人である場合、身分証明書類のコピーを提出し、同時に対応する中国語訳文を提出しなければならない。
 
 
当事務所では「商標権」のプラクティスチームを設けております。ご質問やサポートが必要なこと等ございましたら、いつでも当事務所の朱百強弁護士(marrosju@leeandli.com)、田代俊明(日本国弁護士、台湾弁理士・商標代理人)t_tashiro@leeandli.com)までお問い合わせ頂ければ幸いです。
 

 

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