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西洋薬卸売・小売業に対する当事者個人情報の中国への越境移転の制限が衛生福利部より予告される
西洋薬卸売・小売業に対する当事者個人情報の中国への越境移転の制限が衛生福利部より予告される
現行の個人情報保護法では、個人情報の越境移転について、「原則許可、例外禁止」の立法モデルを採用しており、中央目的事業所轄官庁に対し特定の場合に非公務機関が個人情報の越境移転を行うことを制限できることを授権しています。
これに関して、衛生福利部(日本の旧厚生省に相当)は2024年2月19日に「西洋薬卸売・小売業に対する当事者個人情報の中国大陸への越境移転の制限」草案を予告しました。
本草案によると、中国の個人情報保護法令が完備されていないことを理由に、西洋薬卸売・小売業者に対して当事者の個人情報を中国へ越境移転することが制限されます。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、例外的に許可されることになります。
1. 当事者の個人情報が直接又は間接的な方法により識別することができない場合。
2. 当事者の個人情報が薬品関連業務に従事したことにより取得したものではない場合。
3. 当事者が西洋薬卸売・小売業者の従業員であり、又は西洋薬卸売・小売業者が業務執行過程において、雇用サービス業者や提携業者とのやりとり、又は社内業務でのやりとりにおいて取得した個人情報である場合。
4. 西洋薬卸売・小売業者の本社又は親会社がEUの「一般データ保護規則」の拘束的企業準則に合致している、EUにより承認された様式の個人情報保護条項もしくは行為準則を締結している、又は特定の認証を取得している場合。
5. 西洋薬卸売・小売業者が薬品臨床試験の実施過程において収集又は処理した個人情報であり、又は薬品臨床試験を実施するため、中国の機構が我が国の薬品臨床試験により取得した個人情報を収集、処理又は利用し、それらが関連規定を満たしている場合。
6. 西洋薬卸売・小売業者が薬品安全のため収集又は処理した個人情報を通報する、又は薬品安全に関する監視を行うため、中国の機構が我が国の薬品安全に関する監視により取得した個人情報を収集、処理又は利用し、それらが関連規範を満たしている場合。
7. 西洋薬卸売・小売業者が中国の衛生所轄官庁の要求及び中国の薬品管理関連法令の規定により、中国の衛生所轄官庁へその収集又は処理した個人情報を報告する場合。
8. 契約により標準契約条項が明記されており、中国の機構に我が国の個人情報保護法の関連規範を満たすようにさせている場合。
9. 西洋薬卸売・小売業者が当事者から書面による委託を受けている場合。
本草案は現在なお意見公募段階であり、正式な公告がなされてから1年後に施行される予定です。
将来、個人情報の越境移転がこれにより阻害されないよう、西洋薬卸売・小売業者は早めに対応策を採っておくことを推奨いたします。
当事務所では「バイオ医薬」及び「デジタル産業、通信業及び個人情報の保護」のプラクティスチームを設けております。ご質問やサポートが必要なこと等ございましたら、いつでも当事務所の朱百強弁護士(marrosju@leeandli.com)、林莉慈弁護士(litzulin@leeandli.com)までお問い合わせ頂ければ幸いです。