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商標の善意の先使用の範囲は、原使用の商品又は役務に限る



商標法第36条第1項第4号前段によると、「他人の商標登録出願日前に、善意で同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務に使用した場合」は、他人の商標権の効力に拘束されず、これが商標の善意の先使用の規定である。同項後段によれば、この善意の先使用は「原使用の範囲(すなわち、これまで使用していた商品又は役務)に限る。商標権者は、適当な区別表示を付すべきことを要求することができる。」とされている。言い換えれば、商標の善意の先使用の抗弁を主張しようとする者は、少なくとも以下の要件を立証しなければならない。

その使用時点が商標権者の商標登録出願日より前であること。

先使用者の主観的意図が不正競争の目的ではなく善意であること。

同一又は類似の商標を同一又は類似の商品又は役務に使用すること。

原使用の範囲に限ること。

 

知的財産及び商業裁判所(IPCC)は、113年(西暦2024年)度民商訴字第42号判決において、国立台湾大学(以下「NTU」)が所有する「台大」商標は、学術研究、教育研究の分野では著名商標であるものの、機械設備、車両輸送、航空宇宙、海上輸送などの分野では著名商標の程度には達していないため、台大運輸設備株式会社(以下「台大運輸社」)がNTUの「台大」商標登録出願日前に、台大車体商標「」を使用したことは、善意の先使用であり、NTUの商標権の効力に拘束されないとの見解を示した。

 

しかし、同裁判所は、被告たる台大運輸社は、「台大」商標が著名な登録商標であることを設立登記時に知悉していたはずなのに、本来の名称「台大車体」を使用せず、「台大」という2文字だけを会社名の要部として使用したことは、本来の善意の先使用の目的を継続するものではなく、原告との関連性を関連消費者に誤認させるおそれがあるとも判断した。したがって、同裁判所は、被告たる台大運輸社に対し、「台大」と同一又は類似の文字を含まない社名への変更登記を命じた。

 

善意による先使用の立法趣旨は、本来、当事者利益と登録主義のバランスを図ることにある。上記判決の趣旨によると、今後、商標の善意の先使用を主張する際には、その商標の使用が本来の善意の先使用の目的と範囲を継続しているかどうかに留意する必要があり、原使用の範囲を超えると、関連消費者に誤認・混同を引き起こす不正競争行為であると裁判所に判断される可能性がある。

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