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最高裁、商標権侵害の鑑定要件を判示



商標法第95条第1項第1号には、商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、同一商品又は役務において、登録商標又は団体商標と同一の商標を使用した場合、3年以下の有期懲役、拘留又は20万台湾元(約85万円)以下の罰金に処し、又はこれを併科すると規定されている。同条第2項にはまた、自己又は他人が登録商標又は団体商標と同一の商品又は役務に用いることを意図し、商標権者又は団体商標権者の同意を得ずに、登録商標又は団体商標と同一又は類似の標識を付したラベル、タグ、包装容器、又は役務と関連する物品を、販売を目的として、製造、販売、所持、陳列、輸出又は輸入した場合、1年以下の有期懲役、拘留又は5万台湾元(約21万円)以下の罰金に処し、又はこれを併科すると規定されている。

 
商標法第95条は、一般に商標の模倣品と呼ばれるものを製造又は販売する者に対する罰則に関する規定である。よって、いわゆる商標模倣品とは、商標権者又はその専用使用権者から許諾を得ずに製造された商品のことを指す。現在の実務では、通常、商標権者又はその許諾を得た個人又は機関が侵害鑑定報告を発行し、被疑品が許諾に基づいて製造されたものか否かを証明する。しかし、具体的な事例において、商品が模倣品であるか否かを判断することは必ずしも容易ではない。また、鑑定報告の客観性を争うために、被疑者は、商品が型落ちした真正品又は多くの人に流通した中古品であると主張し、さらに商標権利侵害鑑定報告は、商標権者又はその許諾を得た個人又は機関によって鑑定されるべきではないと主張することもある。
 
最近、最も議論されているのは、商標権利侵害鑑定報告が採用されるには、どのような要件を満たすべきかという点である。この問題について、商標法には明示した規定はない。
 
最高裁判所は、111年(西暦2022年)度台上字第1271号刑事判決において、商標模倣品販売事件に対し、知的財産及び商業裁判所の110年(西暦2021年)度刑智上訴字第15号刑事判決を取り消し、刑事訴訟法の関連規定を援用して「商標権侵害鑑定」の証拠能力に関する証拠調べの原則を明らかにした。
 
これについて、最高裁は以下のような見解を示した。客観的に裁判所が事実を認定し、法令を適用する基礎となる証拠については、取り調べたがその内容がまだ明確でない場合、取調べを行っていないものと同じであり、そのまま判決を急いで下すと、その判決には、公判期日において証拠調べを行うべきだったのに取調べを行っていないという違法がある。刑事訴訟法第206条第1項には、鑑定の経過及び結果について、鑑定人に口頭で又は書面にて報告するよう命じるべきと規定されている。「鑑定の経過」とは、鑑定方法、鑑定に必要な資料や情報の収集とその内容、判断の根拠と理由など、鑑定を行う手続きと手順を指し、「鑑定の結果」とは、鑑定人が鑑定の経過について、その専門知識又は経験に基づき、鑑定事項に対して行った判断及び論証をいう。鑑定に必要な資料が不足して作成された鑑定結果は、その根拠や推論過程を科学的に検証することができないことから、被告に不利な認定をするための根拠としては不十分である。
 
最高裁はまた、事実認定について具体的に疑義を指摘しており、原審で被告の有罪証拠として引用された鑑定報告にも言及した。これについて、裁判所は以下のような見解を示した。鑑定報告の内容は、鑑定の結果にとどまり、その他の鑑定で採った方法や資料、鑑定人がその専門知識に基づきどのように判断や論証したかについての説明がいずれも欠如しており、これが被告に不利な認定をするための根拠として十分と言えるかどうかについては、さらに検討する余地がある。検察官の検証結果によると、縫い糸が細すぎる、縫い目が斜めである、財布の縁が破れているなどの瑕疵があったが、その原因については、疑義があり尚も究明が待たれるとして、究明されるまでは、本件差し押さえた財布が中古の真正品で、購入後に自分で縫い直ししたという被告の主張は真実性を欠き、採用するに由ないと判断するにはまだ不十分である。原審では、証拠調べにより事実関係を明らかにする前、又は被告に不利となる更なる証拠が揃う前に、商標権者の鑑定報告と検察官の検証調書に依拠して被告人を有罪としたことは適法ではなく、審理不尽、理由不備の違法がある。以上は上告趣旨の主張であるか、本裁判所が職権により調査できる事項である。原判決の上記の誤りが事実の認定に影響を及ぼすため、本裁判所自らはこれに基づき判決することはできず、原判決を取り消しして差し戻しすべきである。
 
最高裁が明らかにした「商標権侵害鑑定」の証拠能力に関する厳格な証明法則は、今後の具体的な事件の判断に影響を及ぼすことになるだろう。
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